目的と根拠を持って読み、認識と行動を持って書く

【内容】
「どう読むか」「どう書くか」という2つの視点から、著者の考え方と便利な技を紹介。


もしも、自分の書く物に使わなかったり、あるいは自分の知見を大きく広げてくれることに役立たないのであれば、そんな資料を集めている時間に、構想を練ったり、書いたり、あるいは寝たりしている方がいいのです」


書くために読むという、合理的な意味での読書(すなわち小説・詩は対象外)の極意が書いてある。
読む目的と、その本を選んだ根拠をはっきりさせるという基本中の基本でありながら、なかなか実践できないポイントを冒頭に持ってきているあたりが「さすが」だ。

書き手として「真似できないもの」を身につける方法についても言及している。結論から言ってしまえば総合力が必要だが、著者は「とりあえず」と前置きして「誰もやっていない領域を探す」「自分に何が必要なのか、何がかけているのかを冷静かつ正確に認識する」という2点を挙げている。しかしこの「とりあえず」すらも満足にできないのがほとんどの文章書きだろう。

さらに言えば「認識する」の後に必須となる「それを補う」という過程が一番難しい。「補い続ける」となると、さらに難度が増す。何かをし続けるためには、エネルギーを保ち続けることが不可欠だからだ。継続するためには、自分のエネルギーを絶やさない工夫を考えておく、もしくは自分のエネルギーが絶えないものだけを行動対象とするのが適当だと思う。



追記
「抜書き」の効用について言及しているブログがあったが、自分は昔から抜書きする派なので、特に目新しくはなかった。
それより本を選ぶ方法で「自分の好みに近しい評者を探す」という項に興味を抱いた。いわゆる評論家でも良いし、身近な友人でも良いので、信頼できる評者を見つけ、その人の勧める本をチェックするというもの。
音楽とマンガに関してはそういう人を見つけているけれど、本に関してはまだ見つけていない。ブックマーカーに関してもそういう人を見つけたほうが良いよ、と最近友人にコメントをいただいたので、そちらも開拓したい。