団塊の世代向けビジネス本

団塊の世代」とひとくくりにしますが、ひとりひとり異なった人生を歩み、異なった嗜好を持っています。私の父親は一昨年還暦を迎えました。今も働いていますが、「今年あたりに退職しようかな」とつぶやいています。あまりしゃべらない人なので、肉体的につらいのか、それとも精神的にのんびりしたいのかはわかりませんが、あまり仕事に対する執着心はないようです。


60歳になってから「ライブドアショック」後のライブドアを引き受けた平松さんも、父と同じ「団塊の世代」。あまりに私の父親と違うので、ちょっと変な感覚を覚えます。あくまで区分上のものだから仕方ありませんが、「ひとくくり」にすることの乱暴さをひしひしと感じました。



ボクがライブドアの社長になった理由

  • 著:平松庚三
  • 出版社:ソフトバンククリエイティブ
  • 定価:1575円
livedoor BOOKS
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「仕事とは?」「働くとは?」

タイトル通り、著者の平松さんは、堀江さんの去った後のライブドアを率いています。ソニー出身で、その後アメックス等々外資系会社の立て直しを主に手がけてきた方で、昨年還暦を迎えられました。私の父親より、少しだけ年下ですが、彼はまだまだビジネス最前線で戦っています。

「われわれは、労働の対価として時間や日数で給料をもらっているように思っているが、本当はそうではない。(中略)普段から『常に』考える習慣を身につけ、それを社内で発表したり、他のアドバイスをもとに修正したりすることが頭脳労働者の仕事というものだ」


社会人になってもうすぐ1年の、「働くとはどういうことか?」について考えを巡らせてしまう私にとっては、時機を得た一冊でした。見習いたい面もそうではない面もありますが、私自身は共感するところが多くありました。ですが、私の父の年代の方はどう感じるのでしょうか? 聞き書き役の城島明彦氏の存在のおかげで、ビジネスマンの自伝としてはこなれた文章ですから、是非年配の方にも読んでもらいたい本です。


手にした経緯

この本は書評サイト「本が好き!」の献本で貰いました。しかし実は献本希望を出したのを忘れて、丸善本店で買おうか否かと30分くらい悩み、結局買わなかった・・・という経緯があります。


買わなかった理由は「荷物が重かったから」という身もふたもないものですが、重さだけでなく、ハードカバーで買う本=保存しておきたい本と考えているのも一因でした。しかし、この本はハードカバーで手に入れて良かったと思います。ただし今回は自分で保存するためではなく、父親に譲るために保存しています。この本は若い人よりも、平松さんと同い年くらいの人に読んでもらおうと作られた本だと思うので、私が保管するよりも、父が持っているほうがふさわしいと思ったのです。


だから私は「ハードカバーというのは本書にはそれほどふさわしくない。なぜソフトバンク新書の方で出さなかったのだろう」という意見には、同意しません。いくつかのブログレビューを見ていると、技術者の方の読み方は異なるようですが、この本を作った編集者の考えたこの本のターゲットは「団塊の世代」でしょう。この本の内容は、年配の方が読むから新鮮で身につまされるものであって、若い人ならば他の経営者自伝やビジネス書でも代用が効くと思います。


何はともあれライブドアのサービス「本が好き」さん、いつもありがとうございます。担当の清水さんから届くメール、いつも楽しみにしています。これからもお世話になります。

おまけ

フジテレビ、ライブドアに約345億円の損害賠償請求」なんてことになっているんですね。株の購入決定をしたのはあくまでフジテレビなんだから、お門違いじゃない?という気がするのですが、どうなるのかしら。