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エンタメ活用テキスト

ロケットもジェット機もヘリコプターも聖火リレーもテープレコーダーもテレビ電話も高速道路も、みんなナチスが開発した!

ナチスの発明

ナチスの発明

科学技術を駆使し、エンターテイメントを有効活用して、当時のドイツ国民の心をとらえたナチス。敗戦して失意の底にある国民の願いを代弁し、テーマパークのような党大会で人々に娯楽を与え、労働者の地位向上に国家予算を費やした政党としてのナチス。・・・をかいま見ることの出来る一冊です。

「ナチスの党大会はテーマパーク、もしくはロックコンサートのようだった」という切り口の文章、そして「ハイル・ヒトラー」のかけ声に合わせて手を挙げる観衆や、130本のサーチライトが空に放たれる様子をとらえた写真を見ることが出来て、大満足。*1


コンサートに行ったり、ダンスをしたことのある方なら分かると思うのですが、周りと同じように踊っていると、高揚感が生まれます。軍隊の儀式は「やらされ」感がありますが、自発的に踊っているときの一体感は、一種の快感です。私は以前、ナチスの党大会の映像を見て、「一般民衆が手を振り上げて、ヒトラー万歳!の熱狂に包まれているって、すごい。ナチスを支持していた人たちは、楽しんで支持していたんじゃないのかなあ」という印象を受けました。

本書を読んで、その印象は間違っていないことを確認しました。党大会開始前には教会の鐘の音、楽隊の奏でる音楽、そして静寂を活用して人々の期待を盛り上げ、ボルテージの上がった会場に登場したヒトラーはスポットライトで照らし出され、彼の演説はスピーカー(PAシステム)を用いて、数万の観衆で埋まった会場すみずみに響きわたる。これって、ロックコンサートそのものではありませんか。


内容もさることながら、カバーを取ったときの装丁も気に入っています。凝ったものではありません。黒字に白で「ナチスの発明」=「Der Erfindungen des Nazis」の文字、そしてジェット機の雲を模した罫線が入っているだけですが、ドイツっぽくてカッコイイのです。

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追記

「伝えたいことを伝えるために、エンターテイメントを有効活用したナチスはすごい」という感想をうまく伝えられなくて悔しい・・・

特別な関心がない限り、政治的な催しには足を運ばないものである。
これは政治離れの進む現代に限ったことではなく、ナチス時代の一般ドイツ人にも当てはまったはずだ。主義・主張だけでは振り向かないそれらの無関心層の足をいかにして党のイベントに向けさせるか。そこでナチスが出した答えは、政治的な催しにエンターテイメント性を盛り込むことだった。


youtubeを検索したらナチスのビデオがざっくざく出て来たので、ヒトラーの演説姿@党大会を貼っておきます。


あと「周りと同じように踊っていると、高揚感が生まれます」の具体例として、Pierrotのライヴをあげておきます。なつかしー。

*1:軍国主義や全体主義を肯定するわけではなく、中立的な視点で書かれています。優れた科学技術を有していたナチスを分析する・・・という内容です。誤解なきよう。