本のデザイン イベントに行ってきた

ブックデザイナーの祖父江慎さんにひかれて、印刷博物館のイベント「ブックデザインにおけるフォント活用とDTPの今」に行ってきた。スピーカーは、デザイナーの祖父江慎さんそして坂野公一さん、太田克史さん、紺野慎一さん。
イベント情報→http://biz.toppan.co.jp/gainfo/event/index.html


太田さんは講談社の編集者。溢れるように言葉を発する方で、発信したい!という空気がすごく強い。自然と話に耳を傾けてしまう。素敵な言葉を書き留めておいた私のノートには、彼の言葉がたくさん残っている。


だけど、手ぶらで振り返ってみて、強く思い出すのは、祖父江さん。本について話しだすと子どもみたいな表情が見え隠れして、とってもかわいい、素敵なおじさまだった。口数は多くないものの、ひとつひとつの言葉に重みがあって。なかでも、「(ブックデザインで)迷った時、安全な道とまずい道があったら、まずいほうを選ぶの」という言葉は、目から鱗が落ちた。そのココロは「安全な道はいつでもいけるんだから。まずいほうをやってみて、ダメだったら戻ればいいの」。ポール・グラハムの「2つの選択肢がある場合、難しいほうを選べ」に通ずるなあ。頭でわかっても、実践しなきゃ意味がないところも、おんなじ。


他にも文章がページをまたがないように書いている、(そのため)中身が出来る前にブックデザインを求められるといった、ある作家さんにまつわるエピソードや、一文字ごとに好きな文字を採用して合成フォントを作っている等々の祖父江さんと紺野さんのデザイン作品など、面白いことだらけで、もう、どうしよう!という2時間半でした。


イベント終了後、印刷博物館で開催中の「日本とドイツの最も美しい本展2006」も見学。こちらもとても楽しかった。極端なことを言うようですが、ときおり、手元に置いておきたいと思ってもらえる本以外、電子書籍になってしまうのではないか。紙の書籍は、所有したいと思ってもらえる、限られたものだけになるのではないかと考えることがあります。こんなふうに本を「所有」という観点から見るとき、装丁の美しさというのも大切なキーワードですよね。
展示情報→http://www.printing-museum.org/exhibition/pp/071103/index.html