橋本大也氏講演会に行ってきた

都立大学改め、首都大学東京の図書館主催の「インターネット時代のハイパー読書術 差がつく本の読み方、探し方」を聞いてきました。講演者はPassion for the Future橋本大也さん。内容は3本柱。

  • 本の探し方
  • 本の読み方
  • おすすめ本

本について橋本さんがひたすらしゃべる90分間でした。良い機会なので、橋本さんの話を抜き書きしながら、自分の読書習慣を見直してみます。

本の探し方

探す、買う、読む、(ブログを)書く、フィードバックを受ける、探す、・・・というサイクルを作ってしまっているそうです。

読書で破産する人はいない。

ので、本は直感で買ってしまう。年間で500冊買って、うち200冊は読まずに捨てる・・・という感覚らしい。私も途中まで読んで切り捨ててしまうものもありますが、さすがにそこまで徹底していません。本を入手するのは年間100冊程度で、そのうち1割くらいは読まずに御蔵行き・・・という感じかな。

書店で探す  5割

お気に入りの書店は青山ブックセンター(ABC)本店、丸善本店、東京駅地下八重洲の古本屋RS BOOKS。大型書店では先ず奥から見る、立ち読みするのではなく目の探索力を効かせて広く探す、モノとしての本を確認するのを意識している。

私は丸善本店、ジュンク堂池袋本店がお気に入りです。ABCも好きですが、場所が行きにくいので使用回数は多くありません。あと京都の恵文社、ガケ書房も大好きです。東京ではあまり個性のある書店を見掛けない気がします。私のアンテナ力不足?

ネットで探す 4割

ネット書店はキーワードで本を探したり、関心を深めたりするのに向いている。広げるためには連想検索エンジンWebcatPlusや、新書マップ、人の本棚を覗ける本棚.orgBOOKLOG、新刊情報を教えてくれる新刊パトロール新刊JP、古書情報を教えてくれる神保町古書データベース、ブログで話題の本を扱うTechnoratiランキング、質問を投げると誰かが回答してくれるはてな人力検索・・・などを活用する。「聞く読書も増加中?」で、今は寺山修司ラジオドラマを聞いている。

私はネットで探す=ネット書店止まり。最近はBOOKLOGもご無沙汰です。ただ、書評ブログや友人ブログを読むのが習慣になっているので、意識しなくても本情報は入って来て、読みたい本も増えていきます。それにしてもラジオドラマとは懐かしい響き。昔NHK FMの「青春アドベンチャー」にハマってました。

「Amazonデータベースをデスクトップから使う」というテーマで、Amazon活用ソフトの紹介もしていました。私はここらへんを使い始めると「本で破産」してしまいそうな気がします。

書評本・書評雑誌で探す 1割

私は書評本・書評雑誌を読んだことがほとんどないのですが、

書評本を読めばベストセラーを読まなくても筋がわかるのが便利

と言われて、納得。オススメ書評本は「趣味は読書」by斉藤美奈子だそうです。

購入判断のポイント
  • 出版社名(ヒット打率の判断基準になる)
  • タイトル(二番煎じの売れ筋タイトルは避ける)
  • 著者(出版頻度の高すぎる著者は注意)
  • Amazonレビュー、ブログ書評(サクラには注意)
  • 出版年(特にネット書店で購入時には気をつける)

やはり本が好きな人は出版社名も気にするのですね。上記とかなり被りますが、私は出版社名、著者名、装幀、版面、知っている人のコメント、タイトル・・・らへんを気にします。本のプロデューサーである編集者と自分のセンスが合うか否かは、本の面白さに直結するので、出版社は重要なファクターです。特に小さい出版社で「面白い」と思える本があったときは、同じ出版社の本を漁ると掘り出し物に出逢える確率が高いですね。

本の読み方

読むスピードを意識している。1時間で100ページくらい読めるから、平均して2〜3時間で1冊読む。

こういう切り口はほとんど意識していなかったので、新鮮でした。スピードを上げるための具体的な話もしていました。

速読のポイントは

  • 眼球の上下運動が正確にできること(行の後戻りをしない)
  • 滞留時間の短縮(1行を3ブロックに分けて、3回で読む)
  • 視野の拡大(2行同時に読む)

ブルーバックスの「速読トレーニング」がオススメらしいです。そういえば以前視力回復センターみたいなところに通っていましたが、そこでやってた眼の体操と、速読関係のトレーニングはかぶるものが多いです。体験的にも眼の体操をサボる=眼がなまる?と読書スピードが落ちる気がします。

「それなり読書術」

  • 読む動機を明確に
  • 入門・総論書を先に、専門・技術書は後に読む
  • 目次や前書きを読む
    • 構成を把握
    • 捨てる判断基準
  • ペースを確認する
    • 30分で速度確認
    • 通勤時間の区切れ目を活用
  • 面白くない本は早めに切り捨てる

実用書を読むときは無意識にやっているなと思いながら聞きました。数学書・学術書についても「読む動機を明確に」できれば、挫折率を下げられるでしょうか・・・。ライフハック的なこともいくつか。

  • ふせん、抜き書きを活用
    • ふせんは10〜20枚/1冊
    • 3色ボールペン
    • エアペンを2台使用(紙にもデジタルにも記録が残る道具)
  • 時間を確保する
    • 必ず発生するイベントに関連づける
      • 通勤時間と就寝前
  • 硬軟とりまぜて2〜3冊持ち歩く
  • ランキングにする、ベスト3をつくる
    • 「殿堂入り」本について人に話す、ブログに書く
      • ブログは知識部品のデータベース

私もふせんを使うことがありますが、貼り過ぎると見直す気が起きなくなるので、何枚くらいと限度を決めるのは効果的でしょうね。また本もよく2〜3冊持ち歩いていますが、荷物が多くなって困ります。こればかりはどうにもなりません。Kindleの日本上陸に期待!

講演でも紹介されていましたが、「本を読む本」は名著です。

本を読む本 (講談社学術文庫)

本を読む本 (講談社学術文庫)

本の紹介

30冊くらい紹介していました。個人的に読みたい本をメモ。

ゲーデル、エッシャー、バッハ―あるいは不思議の環 20周年記念版

ゲーデル、エッシャー、バッハ―あるいは不思議の環 20周年記念版


戦争における「人殺し」の心理学 (ちくま学芸文庫)

戦争における「人殺し」の心理学 (ちくま学芸文庫)


ベルカ、吠えないのか?

ベルカ、吠えないのか?


たった2分で人の心をつかむ話し方(CD付)

たった2分で人の心をつかむ話し方(CD付)


ヨーロッパをさすらう異形の物語〈上〉―中世の幻想・神話・伝説

ヨーロッパをさすらう異形の物語〈上〉―中世の幻想・神話・伝説

こぼれ話+おわりに

「本の面白さ」の要素として

  1. 読み手の動機つけが十分である
  2. 未知の内容がある
  3. 難易度や趣味が、今の自分に適合する

という3つを挙げていました。つまり本を面白く読むためには、動機付けや未知のことに対する興味を向上したり、適度な難易度を選んだり、趣味を豊かにしたりすれば良いということ。

「おわりに」として、少しだけ電子書籍や電子ペーパーKindleの話もしていました。私自身が最近興味のある分野なので、e-booksに興味があるので、「さわり」だけではなくもっとして欲しかったです。が、これは本日のテーマと外れるので仕方がないかな。自分で色々調べて考えていこうと思います。
なお、本日のパワポファイルをサーバーにアップしていらっしゃいます。http://tvnews.jp/hyper/