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旅する人のものがたり

2008年の4冊目


アニリール・セルカン / 大和書房(2006/06/22)
Amazonランキング:6335位
Amazonおすすめ度:
宇宙へのロマン
夢が実現へと…
私の大好きな方がお勧めする本☆

宇宙エレベーター』は勉強のための本ではない。
宇宙の秘密を語るための本でもない。
人に自分の経験を伝え、僕らが当たり前と思っている日常に「なぜ?」と問いかけるためのツールの一つだ。

プロローグにこうある通り、体系だった知識が書かれている本ではありません。1章「宇宙の旅」に、表題になっている「宇宙エレベーター」についての解説があります。しかしそれを通過すると、2章「次元の旅」ではサンタさんは実現可能か? 4次元の女はいい女か?といった事柄を、3章「時間の旅」ではタイムトラベルの話を、4章「歴史の旅」では天動説地動説の歴史や石碑に書かれた古代の話を、5章「原子の旅」では原子のことから男の悲しい運命までを、・・・幅広くと一言で表現してしまうのがはばかられるほど、いろいろいろいろいろいろなことに言及しています。
プロローグにあるとおり、セルカン氏の経験と視点を感じること自体を楽しむ本であって"お勉強"にはさっぱりなりません。本というよりも、私とは違う視点でこの世界を旅している人の物語。物語というには短すぎる断片。そんなものたちを、少しずつつまみ食いさせて貰った気分です。

特に4章が好きなので、そこから抜き書きをいくつか。

現在、僕たちが慣れ親しんでいる、太陽を中心とした惑星の運行を確立したのはこの2人(コペルニクスとケプラー)なのだが、なぜか数学者ガリレオがこの知識を発見したと思っている人が多いようだ。

彼が有名になったのは、当時当たり前のように信じられていた天動説を真っ向から否定し、その姿勢を世間に打ち出していったプロモーション能力だと言えるだろう。教会が彼の本を発売禁止にした動きが却って人々の興味を引き、そのプロモーションに拍車をかけてしまったのだ。

人々の記憶に残るか、何が真実とされるかは、その情報がどのくらいのインパクトを持って迎えられるかにどうしても影響されてしまう。

「本当の真実」とは、世の中で当たり前とされることを鵜呑みにするのではなく、フーコーがしたように、自分で追求し、経験することで真実を導き出す旅から生まれてくるのだ。

補足。フーコーとは、振り子を使った実験で、地球が回っていることを証明した物理学者。彼が実験で証明するまで、天動説はコペルニクスとケプラーによって理論が確立されたものの、あくまで机上の仮説でした。