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日本の「いれもの」

life

先週末、金沢+輪島旅行に行ってきた。1泊目、1人でホテルに泊まって、久しぶりにテレビを見た。NHK BSの「Cool Japan」という番組。日本の「cool」なところを紹介しようという趣旨で、10人の外国人(イギリス、スウェーデン、アルゼンチン、インド、タイなど、国籍はバラバラ)とともに日本を取材し、語り合っていた。これがとっても面白かった。
f:id:kany1120:20091129234106j:imageby jpellgen

日本の商品パッケージ

日本の商品には、綺麗・簡単に開けるための工夫が満載!という紹介。コンビニのおにぎり袋(ノリをパリパリにしておくためのビニル袋)や、簡単にビニル袋を開封するためのシール(カップ麺の底)が紹介されていた。
すごい!と褒める人もいる一方、イギリス人男性は「おにぎり袋に開ける順番が書いてあるなんてやりすぎ!」と言っていたし、インド人男性も「自分の国だったら開けやすくて高い商品よりも、安くて開けにくい商品が売れる」と言っていた。
イタリア人の女性が「クッキーを1つ1つ包装するのはやめて欲しい。だらだら食べるときに不便!」と言っていたのも面白かった。

圧縮袋

シーズンオフの洋服や布団を閉まっておくための真空圧縮袋。日本では100円ショップでも売っているような大衆商品だが、スタジオにいる10人の外国人はほぼ全員、これを見て大興奮+褒めちぎっていた。イタリアでもテレビ番組の通販で売っているらしい。

プッチンプリン

20年前に開発されたプッチンプリンの容器の開発物語。昔は銀座のレストランで食べるような高級品だったプリンを、普通の家庭で食べられるようにするため、グリコがカップ入りのプリンを開発をはじめた。
しかしできあがった試作品は、企画担当者が想像したプリンと違った。銀座のプリンはカラメルが上に乗っかっていたのに、カップ入りプリンはカラメルが容器の底! イメージと違う! と抗議する企画担当者。
開発者には開発者の言い分があった。カップに入れたままカラメルが上にできないか?を試すが、カラメルは比重が重いため、どうしても容器の底に沈んでしまう。それならば仕方がない。容器から出したときにカラメルが上になればよしとしよう、となった。が、今度は容器から綺麗に出ない。

容器から綺麗にプリンを出すための試行錯誤が始まる。

完成系に近しい、容器の底に孔を開けるアイデアは、レストランのパティシエがババロア容器の底にアイスピックで孔を開けている様子をヒントに考案された。はじめは、カップ入りプリンの付録に孔を開けるためのピックを付属することが考えられたが、安全上の理由からNGが出されてしまう。それならばと出荷時にカップの底に孔を開けておこうということになったが、孔をふさぐうまい方法が浮かばない。シールで封をすると、中身が出てしまう。
あれやこれやと試行錯誤の末、カップの底につまみを作ればいいじゃないか!というアイデアが出される。しかし試作品が作られてくると、つまみが堅すぎて折れない。途方に暮れる開発部。ところが、試作品の中には「つまみが折れるカップ」もいくつか含まれていた。ほとんどのカップはいくら力を入れても折れないのに、なぜ?

よくよく調べてみると、それはつまみの位置が規定からずれている、不良品カップだった。つまみの位置が孔の真上ではなく、ちょっと横にずれたところにあるおかげで、テコの効果が生まれて、つまみが折れやすくなっていたのだった。

最終的には、この不良品カップの形状が採用になり、無事「プッチンプリン」が誕生した。構想から商品誕生まで、足かけ2年かかったという。

重箱

日本の輪島塗り重箱を、イタリア人女性がピックアップ。漆でつくられた重箱は

  • 食品の容器としてつかえば、自然と冷暗所保存ができる
  • 手入れが簡単なので、普段使いにぴったり
  • 防腐効果がある

等々、便利な上に、深い黒色や頑丈な作りに職人芸が現れていて美しい。

輪島塗りは下塗り、本塗り、重ね塗り、等など、とても手間のかかる製品。下塗りを始めてから完成まで8ヶ月を要するという。

これを見て、私は色々なことに思いを巡らせた。それは漆を塗り始めてから商品完成まで8ヶ月。実際には漆の樹液を木から掻く(id:alsograficoのような)職人もいるわけだ。漆は木を植えてから頃合いに育つまで10〜15年かかるという。そして漆から樹液を掻くのは年に数ヶ月のシーズンだけ。そうやって集められたうるしが、塗り物の産地に集められてから、ようやく「塗り」が始まる。

長い時間と、自然の恵みと、たくさんの人の情熱の結晶。それが外国語で「Japan」と呼ばれる、日本ならではの工芸品なのだなあ。

輪島にて

この番組の影響で「輪島塗の重箱欲しい!」となりました。が、お店で重箱を見つけて値札を確認すると、3段重箱の値段は軽く10万円超。2段重箱で7万円くらいから。それくらい手間がかかっているのだから当然と思いつつも、まだ高嶺の花だな・・・と購入を見送りました。