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■[book]漫画でわかるEconomics入門 パート1

パート1:ミクロ経済、パート2:マクロ経済。読みやすくてわかりやすくて良い入門書だった。

The Cartoon Introduction to Economics: Microeconomics

The Cartoon Introduction to Economics: Microeconomics


山形浩生訳の日本語版もあった。
この世で一番おもしろいミクロ経済学――誰もが「合理的な人間」になれるかもしれない16講

この世で一番おもしろいミクロ経済学――誰もが「合理的な人間」になれるかもしれない16講

本書に良く出てくる「Optimizing individual」の和訳を探したら、なかなか見つからない。なぜ? 山形浩生による日本語版の紹介文を読んでわかった。

この本で一番すごいのは、なんでミクロ経済学がおもしろくないか、をバウマンたちが考え抜いていて、最も「とっつきやすい」構成を実現したことだ。その意志が顕著に現れているのは、「需要と供給」の話が後半になるまで登場しないこと。そう、市場という抽象的でイメージしにくいものから入ることを意図的に回避しているのだ。
バウマンは、市場を構成する「合理的な個人」に焦点を当て(Part1:意思決定やリスク)、数人の間でのやりとり(Part2:ゲーム理論や公平の問題)を経由し、最後に「需要と供給」を含む抽象的な枠組みの解説(Part3)へと進んでいく。この順序こそ、本書をとっつきやすくしている最大のポイントなのだ。

「合理的な個人」から導入するのはミクロ経済の本としては王道ではなくて、Yoram Baumanの手腕によるもの。確かに本書を読んでいるとThe optimizing individual(個人)->Strategic Interactions(複数人のインタラクション)->Market Interactions(市場のインタラクション)という流れで、説明にするっと入り込むことができた。

I: THE OPTIMIZING INDIVIDUAL「合理的な個人」

経済学というのは、Optimizing individual「合理的な個人」の行動と、そういう個人同士のインタラクションについての学問。Optimizing individualというのは「自分が良ければそれでいい!」っていう感じの人で、経済学では世の中そういう人間ばかりと仮定して話を進める。

Economics is about the actions of OPTIMIZING INDIVIDUALS and the INTERACTIONS between them.

  • an optimizing individual is "selfish jerk"!
  • the assumption in economics is that every single person is an optimizing individual.
  • Optimizing individuals are people trying to satisfy their own preferences

マクロ経済での大きな問いは「どのような環境下において個々人の合理的な行動(individual optimization)が、全体として好ましい結果(good for the group as a whole)につながるだろうか」。

The Big question in Microeconomics is:
Under what circumstances does INDIVIDUAL optimization lead to outcomes that are GOOD FOR THE GROUP AS A WHOLE?

つまり「私が自分にとって良い事をして、あなたがあなたにとって良い事をして、それ以外のみんなもそれぞれ自分にとって良い事をしたとして、どういう状態ならその結果が私たち全員にとって好ましいものになるだろうか?」

In other words: When I do what's good for ME, and you do what's good for YOU, and everyone else does what's good for themselves, when are the results good for ALL OF US?

キーワード
  • sunk costs(埋没コスト)
  • marginal analysis: comparing similar choices (マージナルアナリシス、similar choicesというのがポイント)
    • 企業は価格決定においてマージナルアナリシスを使い、profit-maximizing
  • present value(現在価値)
    • 今日の1ドル<>明日の1ドル
    • 時間とお金が関わってくると、利率が大きな意味をもつ
    • 永久債の現在価値 = x / r (x: 受取額 r: 利率)
  • variance(分散): measure of how far any one particular outcome is likely to be from the expected value (期待値からどれくらい大きく外れるか)
    • 散らばりが大きいほうがハイリスク
  • the law of large numbers(大数の法則
    • これのおかげで保険会社が成立する
  • Trade(トレード)
人・定理
  • the invisible hand (神の見えざる手)
    • by ADAM SMITH in 1776
  • Diversification: "Don't put all your eggs in one basket"(卵を1つのカゴにもらない)
    • JAMES TOBIN won the Nobel prize in 1981.
  • Adverse selection: "Buying an individual health insurance policy (in US) can be a real pain in the neck" (逆選抜:売り手と買い手の情報比対称性から生じる市場の失敗)
    • GOROGE AKERLOF shared the Nobel prize in 2001.
  • If there's nothing to stop people from trading, Nothing will stop people from trading.: The Coase theorem : "If people aren't trading, something must be stopping them"(トレードを止める要因が何もなければ、人々がトレードを止める理由は何もない。つまり人々がトレードしないということは何か止める要因があるということ)
    • RONALD COASER won the 1991 Nobel prize for this idea.

II: STRATEGIC INTERACTIONS(数人の間でのやりとり)

ゲーム理論では常に正しいこと(bottom line):重要なのは情報

The bottom line - and this is true Everywhere in Game theory- is: "INFORMATION MATTERS"

ゲーム理論を勉強している経済学者は主に2つのことを考えている。「ゲームの結果を予測できるか?」「予測した結果は良いものか?」

Economists who study games focus on two questions:
1. Can we predict the outcome of a game?
2. Is the predicted outcome good?

良い結果とは、少なくても「パレート効率」の良いもの、つまりこれ以上「パレート向上」できない状態のものであるべき。なお「パレート向上」とは、ゲームに関わるメンバーの誰1人もが損せずに誰かがベターな状態になること。A・B・CがいるときABは現状維持でCはベターになった、これはパレート向上。Aが悪くなってBCがベターになった、これはパレート向上じゃない。

A good outcome should at least be Pareto efficient. An outcome is Pareto inefficient if it can be Pareto improved. An outcome is Pareto efficient if it cannot be Pareto improved.

キーワード
  • Game theory (ゲーム理論
  • Cake cutting problem(ケーキカット問題)
  • Pareto efficient, Pareto efficiency (パレート効率)
    • named after Vilfredo Pareto
  • Pareto improvement(パレート改善)
  • The Prisoners' Dilemma (囚人のジレンマ)
    • ゲームプレイヤーが2人のときに起きる事象の名前。2つの特徴がある。1.各プレイヤーは自分のことだけを考える時には、絶対的に良い戦略(dominant strategy)を持っている。2.各人にとってのdominant strategyは、プレイヤー双方にとって悪い結果を導く。
  • Tragedy of the Commons(コモンズの悲劇)
  • (for Auction)the Revenue Equivalence Theorem
    • オークション:(主な手法が4つあるが)どの手法でオークションを行っても、売り手の利益は変わらない)
人・定理
  • JOHN NASH shared the Nobel prize in 1994 for his analysis of Game theory strategies

III: MARKET INTERACTIONS(市場でのやりとり)

競争的市場(Competitive market):買い手・売り手ともに十分たくさ
んいて、個々の買い手・売り手の動向は無視できる状態の市場のこと。非常に「理想的」な市場。

the Formal definition of a Competitive market is: A market with lots of buyers- each one small relative to all the buyers together- and lots of sellers- each of small relative to all the sellers together.

ビーチの絵とともに、個々の売り手は1粒の砂、マーケットはたくさんの砂で構成された、そして砂の動きを阻害するような大きな石の存在しない砂浜・・・とイメージ解説していた(p. 119 )。

競争的市場では、個々の買い手・売り手の存在は小さすぎて市場全体に影響を及ぼす事ができない程度。なので個々のプレイヤーがどんな戦略で動いても全体には影響を及ぼさない。これはゲーム理論で考えること(どのような戦略をとると全体にどのような影響を及ぼし、それに対して自分はどうするべきかを考える・・・というようなこと)と対照的。


需要と供給の法則:競争的市場においては、需要曲線と供給曲線という2つの曲線(カーブ)によって価格が決まる。市場均衡価格は2つのカーブが交差する点。

競争的市場の原則ともいえるこの2つのカーブは 1. 需要曲線と供給曲線 とも、2. 限界費用曲線と限界収入線 とも解釈できる。(Chapter 13. ここらへんの自分理解がちと甘い)


税についてもカバーしていた。

政治家は社会保障税を雇用者・被雇用者双方に負担させることに決定した。しかしtax equivalence(等価の法則)を踏まえると、この決定には意味がないことがわかる。税を全て雇用者に課すとしても被雇用者に課すとしても、経済的負担は変わらない。

では何が経済的負担を決定するのか? -> Elasticity(弾力性)。弾力性の少ない側がより多く負担することになる。
競争的市場における価格決定においても、売り手・買い手の弾力性によって価格が決まる・・・という解釈もできる。

Keywords
  • Competitive market (競争的市場、理想的なもの)
  • the theory of Supply and Demand(需要と供給の法則)
  • the Equilibrium price(均衡価格)
  • Elasticities(弾力性)
    • ある1つの変数の変化が、他の変数に影響を及ぼす度合い
    • (ものの売買について生じる税金の場合)通常は買い手の価格弾力性のほうが売り手のそれよりも小さい。よって買い手が多く税を負担することになる。
人・定理

線の点である。理由は利益最大化のため(詳しく説明するには微分の知識が必要)。 Every point on the market supply curve is also a point on the market marginal cost curve. The reason is profit maximization. (to give logical proof for this, you need some calculus.)

    • JOHN HICKS shared the Nobel prize in 1972 for figuring it out.
  • 飢えている人に食べ物ではなくお金を与えるというのはおかしな話に聞こえるかもしれないが、多くの飢饉が食物不足ではなく金不足によって生じた事を歴史が示している。「金不足は全ての悪の根源だ」Lack of money is the roof of all evil
    • Research by AMARTYA SEN, who won the 1998 Nobel prize, showed that some famine-stricken areas actually exported food.
  • 「見えざる手は時として見えない、なぜなら存在しないからだ」"Sometimes the invisible hand is invisible because it's not there."
    • JOSEPH STIGLITZ shared the 2001 Nobel prize with his much less optimistic research about the Big question.
  • より根源的な「人間はどういう状況において「合理的な個人」としてふるまうのか?」という問い
  • 「人間は常に理性的に振る舞うわけではない「"Human beings are not always rational."
    • A psychologist DANIEL KAHNEMAN shared the 2002 Nobel prize in Economics: Behavioral Economics
  • 「犯罪は時として合理的である」"Sometimes crime does pay"
    • Unexpected applications of the optimizing individual model won GARY BECKER the Nobel prize in 1992.