人は誰しも魔法を使いたいと思っている

魔法使いに会うのが好きだった。

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正しく言うと、わたしのまわりには何人か魔法使いみたいな雰囲気の友だちがいて、彼/彼女に会って話すと、まるで異世界に旅をしてきたかのような気持ちになる。そんな彼らに会うのが好きだった。

彼らは人並み外れて何かが好きだったり魔術師のように言葉を操ったり、なにかしら特筆すべきキャラクターがあって、平凡な私はその魔法の片鱗を垣間見ることがあるとドキドキした。彼らと一緒に過ごす時間が好きだった。

魔法使いたちは、しばしば会社員ではない働き方をする。私が会社員生活に入れ込んだり外国にいったりしているうちに、彼らに会う機会が少なくなった。昼間にフツウの仕事をしていると、魔法を意識することは少ない。魔法を使えないほうが生きやすいことも少なくない。

私はフツウの会社員をしている。そんななか訪問先で出会ったひとのふとした一言が、私のアンテナに引っ掛かった。

「人は誰しも魔法を使いたいと思っているんですよ」

それはある技術についての会話しているときにこぼれた言葉だったけど、文脈を離れて私のなかに残った。

魔法使いに会うのが好きだった平凡な私も、魔法を使いたいと思っているのかな?

魔法使いに会えなくて寂しさを感じるときがあるとき……というか、つまり最近、私ももっと何かに熱中したい・もっと何か出来るようになりたいと思うことがある。自分の力ではどこまでいけるかわからないけれど、恐怖を乗り越えて、全力を尽くして、この世界に自分の爪痕を残す。それが私のなかの「魔法」のイメージなのかなぁと、ここのところ、魔法使いに繋がらなくなった糸を眺めながら考えている。

あと、それから、私にとっての「魔法」というのは、時を超えて残るもののイメージもある。

仮に、魔法使いが魔法を使えなくなってしまったとしても、彼らが昔かけた魔法は残ったままそこにある。だから「あなたがかけてくれた魔法は、今も私の支えになっているんだよ」って、もしまた会うことがあったら伝えよう。ごはんくらいおごるからさ、また糸が繋がることを祈ってるよ。