仕事も恋人
「3人の良さ」という文章 (id:kany1120:20070829)を書いたところ、「なんで恋愛は3人じゃできないんだろう?」というコメントをいただきました。
ところで、外山滋比古先生の「思考の整理学」を読んでいたところ、こんな文章に行き当たりました。
アメリカの女流作家、ウィラ・キャザーが、
「ひとりでは多すぎる。ひとりでは、すべてを奪ってしまう」
ということを書いている。ここの「ひとり」とは恋人のこと。相手がひとりしかいないと、ほかが見えなくなって、すべての秩序を崩してしまう、というのである。
着想、思想についても、ほぼ、同じことが言える。「ひとつだけでは、多すぎる。ひとつでは、すべてを奪ってしまう。
この本はタイトルの通り、思考=知的活動を整理するためのTipsを取り扱っているので、この後、論文を書いたり学問をする際には、テーマを1つに絞らないほうが良い・・・と、話が続きます。
ひとつだけだと、見つめたナベのようになる。これがうまく行かないと、あとがない。こだわりができる。妙に力む。頭の働きものびのびしない。ところが、もし、これがいけなくとも、代わりがあるさ、と思っていると、気が楽だ。テーマ同士を競争させる。いちばん伸びそうなものにする。さて、どれがいいか、そんな風に考えると、テーマの方から近づいてくる。「ひとつだけでは、多すぎる」のである。
私は、この文章を読んで、ふっと、「寝しなの行為は3人でもできるけれど、常日頃の恋煩いは、恋人だけを相手にしているわけにはいかないからじゃないかな」と思いました。
突拍子もない思いつきです。仕事帰りに読んでいたせいかもしれません。私の周りは独身のまま一生懸命働きつづけている方が少なくなく、そういう人の中には「仕事が恋人」という人もいます。でも、そういう人は、仕事がうまくいっていないときに、辛そうです。その辛さというのが、どことなく、高校生くらいのころに恋に溺れていた女友達を彷彿とさせるものなのです。恋愛は2人きりでも出来ます。が、2人きりの恋は、時に、とても辛いものです。
そんな思考の飛躍を経て、恋愛相手は、恋人と仕事の双方が居ると、バランスがとりやすくなるのかな、仕事も恋人だと思えば、恋愛も3人でできるなと、タイトルにあるつぶやきに至りました。*1
- 作者: 外山滋比古
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1986/04/24
- メディア: 文庫
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「思考の整理学」は、タイトルの通り思考や発想の整理法、今流に言うLifehackが主題ですが、それだけでなく、色々な角度から読むことが出来る、とても素敵な本です。
*1:ここまで書いて気付きましたが、恋人2人が別々の仕事をしていたら、3じゃなくて4になってしまいますね。苦笑。