宗教と学問

帰りに、職場近くの神社を歩く。広い境内と、大きな鳥居に切り取られた空が心地よい。

寺や神社、教会、モスク。宗教的な施設が好きだ。歴史的な建造物、広大な敷地、非日常な世界。そういったものに触れるのが、気持ちいい。

「非日常」と書いた。でも、住職さんや牧師さんにとっては、それが「日常」だ。時代を経た建造物の中で毎日を過ごして、教えや聖典という教科書を学んで、何かのために修行や祈りを重ねる。日常に墜ちることなく、神や仏の在る天上を見据えて、日々研鑽を続ける。その姿は、学問の研究者にも通ずると思う。

とりわけ自然科学だとわかりやすい。今までの天才たちが成した研究を学んで、自然界の中にある真理を探求するために思索や実験を重ねる。日常の雑事に惑わされず、仮説や命題という「神や仏の在る天上」を見据えて、日々研究を続ける。生きているうちに辿り着けるかもしれない。来世や天国で巡り会えるかもしれない。信じた道を、歩み続ける。