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読書メモ

2008年の8冊目

デザインの定義とは、必要な機能をもったモノを正しく製作することであるが、この用語が用いられるずっと前から、そうしたモノはすでに製造されていたし、現在でも製造され続け、素材や用いる技術に応じてそのつど改良されている。そうしたモノとは? そう、家庭や仕事場での日用品のことだ。

という出だしで始まる章で、イタリアのノコギリと、日本のノコギリの比較をしていた。図版で与えられた2つのノコギリ。Aのイタリア製ノコギリは、日本人の私が見るとしゃれた形をしていてかっこよく見える。が、機能的にはいまいちで、刃がたゆんでしまったり、汗で取っ手がべたついたりするらしい。

そこでBと記されたノコギリを見てみよう。見てすぐに気づくのはそのフォルムだ。まったく異なっている。この違いは、見せかけの美意識によるのでも、デザイナーの気まぐれによるのでもない。こう作られるには、そう決定させるいくつかの理由があるのだ。これを発見したのは、あのジュードーを発明した日本人(このノコギリは日本製、デパートで売られている)であり、この道具にもジュードーの技術が応用されている。

と、「引いて」切る日本のノコギリを機能面から褒め称える。ニス塗りしていない取っ手は汗を吸収し、使い心地も良いそうだ。さらに

くわえて、このノコギリはなんとも美的。一方、ノコギリA(イタリアのもの)はというと……なんだかヤボったい。

とまで言っている。筆者ブルーノ・ムナーリはイタリア人デザイナー。視点が違えば、感性も異なるということが、実例を伴って示されておもしろい。

こういう本を読むと、もっといろいろな国の人と話してみたくなる。なお、この本はイタリア語からの日本語訳。