オープンアクセスの分類
ご無沙汰してます。今週はオープンアクセスウィークですね。
ふと自分が理解しているオープンアクセスを図解してみようと思いたち、ノートにこんな図を描いてみました。
オープンアクセスいろいろ
(論文の)オープンアクセス*1と一口に言ってもいろいろあります。自分が思いつくものをざっと書き出してみたところ、こんな感じになりました。(以下オープンアクセスをOAと記載)
- 出版社によるOA論文
- マーケティングのためのフリーアクセス
- 最新号のプロモーション
- ノーベル賞等の記念プロモーション
- 途上国向けオープン化(リンク先は論文ではなくデータベースのOA)
- OA出版社によるOAジャーナル
- 通常出版社によるOAオプション
- 中小出版社等による半無意識なオープン状態(特にポリシーはないが結果的にOAになっているもの)
- マーケティングのためのフリーアクセス
- リポジトリにアップされたOA論文
- 研究者自身によるセルフアーカイブ
- 機関(ac.jpなどの)サーバや自前サーバを使ったウェブサイト
- Scribd, MyOAなどのサービス
せっかく書き出したので、なんらかの基準に沿って分類してみることにしました。そこで縦軸にコスト負担、横軸にデータの完備性の観点を入れたのが上の図です。
分類基準はこんな感じ
分類基準についてもう少し説明します。
縦軸はオープンアクセスのコストを誰が負担するか。上側の世界は研究者以外による負担、つまり主に大学や研究所などの機関や政府の助成費にもの。下側は研究者個人による負担によるものです。なおジャーナル論文をOAにする際の費用は研究者負担だったり機関負担だったりケースバイケースなので「OA出版社によるOAジャーナル」と「通常出版社によるOAオプション」は上下します。また研究者自身によるセルフアーカイブもアーカイブの方法によってコスト負担者は変化します。
横軸は書誌情報や出版物としてのデータの完備性がどの程度か。データの品質の高さと言っても良いでしょう。右側が書誌情報等の品質保証に力が入っているもの、左側がそうとは限らないものです。セルフアーカイブが左右に揺れる可能性があるのは想像がつきやすいと思います。大学の先生のホームページを見ると、自身の執筆論文に関する情報をきめ細やかに載せている人もそうでない人も色々いらっしゃいます。また図には矢印を書いていませんが、リポジトリ内の書誌情報も管理者によってかなりばらつきがあるような気がします(ちゃんとしてるところもあれば、ヌケモレがあるところも。出版社にもばらつきはありますが、もう少し均一化されている気がします。あくまで体感値ですが)。
あくまで「こんな感じ」です!
・・・という感じで軸を入れて分類してみたものの随所で揺れている大ざっぱな分類です。実用的な価値はぜーんぜんありません。ま、コスト負担とデータ品質は大切!ということで。
それでは良いOpen Access Weekをお過ごしください。
おまけ
最近自分が見かけて関心を抱いた学術情報やオープンアクセス関連の話題。*2
- asahi.com(朝日新聞社):英国に蔵書寄贈「待った」 考古学協会、16日再協議 - 文化トピックス - 文化
- OA出版の未来を垣間見られる"PLoS Hubs: Biodiversity"スタート|STI Updates|情報管理Web
- ポーランド:Versita社、学術雑誌のオープンアクセスプラットフォーム"Versita Open"スタート|STI Updates|情報管理Web
- Go To Hellman: Bounty Markets for Open-Access eBooks
- 電子化されて漂っているe-booksデータにパトロンをつけて出版=全ての電子書籍サービス・デバイスで読めるようにしてやるシステムを作ることはできないか?という話。たぶん。もう一度読む。
追記:オープンアクセスウィークに向けたビデオメッセージ
Videos - Open Access Week
ビデオたくさん。日本人研究者の轟先生や土屋先生も登場なさっています。