ワクチン開発周辺の寄付金事情 調べたこと考えたことメモ

カントリー・ミュージックの歌手ドリー・パートンがModernaの新型コロナウィルスワクチンの開発に、約1億円を寄付していた…というニュースが、11月中旬に話題になった。
www.theguardian.com

日本語での報道もあったけど、あまり扱いは大きくなかったと思う。
www.billboard-japan.com

私はカントリー・ミュージックに馴染みがないので「ドリー・パートンって誰?」状態だったが日本語Wikipediaを見てみたら、超有名人だった。

パートンは最も受賞歴の多い女性カントリー歌手の中で1人である。アメリカレコード協会はパートンの25枚のシングルおよびアルバムをゴールド・レコード、プラチナ・レコード、マルチ・プラチナ・レコードに認定した。26曲が『ビルボード』誌のカントリー・チャートで第1位を獲得し、女性カントリー歌手の中でも記録的である。40年間で110枚のシングルがチャート入りし、42枚のアルバムがチャートのトップ10に入り、男女問わず他のアーティストと比べても記録的である。シングル、アルバム、コラボ・レコード、コンピレーション、デジタル・ダウンロード全て合わせると世界中で1億枚が売れたことになる。
ドリー・パートン - Wikipedia


ドリー・パートンのことはさておき、私はこの報道を読んで、研究や教育への寄付が盛んなアメリカのすごさを思い出した。カーネギー財団やロックフェラー財団はもちろん、まだまだ元気なビル&メリンダ・ゲイツが、様々な領域に寄付を行っている。ちなみにビル&メリンダ・ゲイツは、コロナウィルス関連でも3億ドル以上寄付している。社会人になったばかりの頃、「お金をどう稼ぐかよりも、どう使うかのほうが難しいんですよ」と年上の人が教えてくれた。アメリカは稼ぐための方法論も様々語られているし、お金持ちになった後のロールモデルもたくさんある。おもしろい国だ。

そんな流れで、ワクチン開発周辺の寄付金事情に興味を持って、ちょっとだけ調べものをしたので、メモを残しておく。


ざっと検索すると、寄付金を募っている研究機関の情報があれこれ出てきた。

英語だと、米国・英国あたりの研究機関による寄付募集ページがわんさか出てくる。WHOもUNも検索広告をしっかり出しているし、医学研究で超大御所のJohn Hopkins Universityは広告がなくても上位表示される。
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日本語だと、東大、阪大、愛媛大、三井住友信託銀行(経由で様々な研究機関に寄付する仕組み)あたりが出てくる。売名したいベンチャー社長は、こういうところに1億円くらいぽんと寄付したらいいんじゃないですかね。
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その一方で、こんなニュースも見つけた。「2.5万ドル(約250万円)寄付したら、優先的にワクチン受けられないかな?」ってはなし。「お金をどう稼ぐかよりも、どう使うかのほうが難しい」という言葉を、改めて思い出す。
news.yahoo.com


別方面で縁があり、京大iPS細胞研究財団でファンドレイザー(寄付募集の仕事)と、大学院で寄付周りのマーケティングに関する研究をしている渡邉さんと話す機会があった。
note.com


失礼ながら、「日本で、研究のための寄付金を募る仕事をしている人がいる」ということに驚いた。そして寄付募集のマーケティングという研究分野のお話が、とてもおもしろかった。社会心理学の面白い実験を紹介しているブログもよかった。
watanabefumitaka.blogspot.com


科学に興味があるひとや学生時代に研究に打ち込んだひとも、研究から離れた仕事についたり、人生が忙しくなってしまうと、科学研究について考える機会は少なくなってしまいがち。寄付を通して関わりを持っていく…というのも、ひとつの付き合い方だろう。

「未来を作る図書館」でアメリカでのファンドレイジング事情について読んだ以外、ほとんど知識のない素人が、2020年末にこんなことを考えた…というメモでした。 
www.iwanami.co.jp