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古都がはぐくむ現代数学・人を殺すとはどういうことか

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2月に読んだ・読んでいる本は「古都がはぐくむ現代数学:京大数理解析研につどう人びと(内村直之)」「人を殺すとはどういうことか(美達大和)」「Life’s A Pitch(Philip Delves Broughton )」「Creative minds, Charmed Lives: Interviews at Institute of Mathematical Sciences, National University of Singapore(Yu Kiang Leong)」「インストラクショナルデザイン(島宗理)」「コミック昭和史3・4巻(水木しげる)」。ちょっと手を広げすぎていて消化しきれていないものが多い。

「古都がはぐくむ現代数学」、「人を殺すとはどういうことか」の2冊だけ簡単に感想を書いておく。

4535787441古都がはぐくむ現代数学: 京大数理解析研につどう人びと
内村直之
日本評論社 2013-11-20

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生き生きとした筆致で、日本の数学界を盛り上げてきた人々の活躍が描かれている。京都の数理解析研究所(RIMS)に関わる人を中心に、有名どころの日本人数学者のドラマとその活躍内容をかいま見ることができる一冊。日本は豊かな数学史と文化を持った国だな…と改めて感じ入りつつ読んだ。

もちろんこの本を読んで彼らの(数学での)活躍内容が理解できるわけではないが、新聞記者として経験を積んだ著者の卓越した文章力のおかげで、その香りを感じることができる。こういう一般向けの優れた数学書があって、日本は恵まれているなと思った。また中国の数学者を対象に誰かこういう本を書かないかな? 中国語ならあるかな?


4101358613人を殺すとはどういうことか―長期LB級刑務所・殺人犯の告白 (新潮文庫)
美達 大和
新潮社 2011-10-28

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重罪の長期懲役者が入る刑務所内で無期懲役している著者による、自己分析と受刑者観察とそれをもとにした考察。好奇心をそそるトピックだが、そのうえに「読ませる」切れのある文章で、夢中になって読んだ。本人も記している通り、著者の知的能力はかなり高いのだろう。人を殺めたことのある無期刑囚が著作をいくつも発表しているのは、倫理的には微妙なラインだろうが、内部事情を伝えるという点では社会の役に立っているといえる。

刑務所の職員(刑務員)が著者に対して述べた言葉が印象に残った。

「たしかに理屈は美達が正しい。しかし世の中には一足す一がニでない奴もいるんだ。全ての人間が道理をわきまえて生きてるわけではないんだ。ニが正解と知っているのが大半だけど中には、三とか四、五の奴もいる。そういうようにしか考えられないんだ。そんな時に絶対にこれが正しいからといったって、相手には考える事ができない。だからこそ、こういうところへ来てるのもいるんだろう。合理的に考える奴ばかりでないのだから、話をしても分かり合えるはずがない。それに、美達の話し方じゃ、反論の余地もない。どこにも隙がない。これじゃ相手も立場がないし、不満はあるけど論破できない状態でただ不満が募る、腹が立つの繰り返しだ。正しいことを言ってるのに我慢しろとは言わんけど、中には道理が始めから分からない、そもそもの土台の違う奴もいることを考えてみろ」