技術の寿命

「数理科学」8月号 風間洋一先生の「履歴書の裏窓」からの抜き書き*1。このエッセイの末尾に、博士課程卒業時に、師匠のC. N. Yang(楊振寧)教授から3つの助言を貰ったエピソードがある。そこから。

「10年間は残る仕事をせよ」
「目先の流行に流されず、長い目でみたときに重要となるものを見極めよ」

id:shiumachiと飲んでて、技術の寿命についてちょっと話題に上った。酔っぱらってて記憶あやふやだけど、Linuxは10年後もあるか?とか、そういう感じの話。
技術的なものって、どんなに優れたものであっても、100年持つものはほとんどない。特に理工系の技術はサイクルが早い。ノーベル物理学賞級の学者にとっても、残る仕事の目標タームは10年なのだ。なんて時計の流れの速い世界なのだろう!


上で「理工系の技術」とわざわざ書いたのは、もっと成熟しきった業界の技術は(現代から見ると)息が長いと思うから。おにぎりなんて、いったい何百年作り続けられているんだろう? 
でも、白米おにぎりや、具入りおにぎりが作られるようになったのは、ここ50〜100年くらいの話か。あんぱんは約130年前から、カレーパンは約80年前から売られ始めたらしい。
あんパン - Wikipedia
カレーパン - Wikipedia


もうひとつ。

「専門家になるな」
「ある分野の専門家でいることは、論文も確実に書けるし、楽なことだ。そうではなく、数年間あることに集中して成果を得たら、また新たな分野に挑戦し、物理の幅を広げよ。」

数年間は何かに没頭しなければ成果をあげることは難しい。途中で断念しないために、自らが没頭できる、没頭するに足りると思える何かを探すのは大切。
でも「いつでも出来る」「なんでも出来る」に甘えて、なんにもしないんじゃ、意味がない。やると決めたら、PDCA回して、給水しながら走り続けないとなあ。

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*1:風間先生は、数学者の森重文先生と同窓。京大時代に、森先生のずば抜けた才能に敬服したときのエピソードもあった。