PLoS ONE方式のオープンアクセス雑誌

雨後のタケノコのように増えてきたオープンアクセスジャーナルのなかでも、「 ジャーナリズムはPLoS ONEがお好き? -朝日新聞編- - かたつむりは電子図書館の夢をみるか」にあるように"PLoS ONE"は「査読の方法が独特(方法と解釈が妥当なら載せる方針とか。ゆえに迅速)」で「掲載論文数がめちゃめちゃ多い」(2010年の出版論文数は約7000本)ことで特殊な位置付けですが、今のところビジネス的にはうまくいってます(論文がたくさん集まっています)。その様子を見た他の出版社各社も、"PLoS ONE"のようなモデルのオープンアクセス誌の創刊準備を進めていますが、とうとうNature Publishing Group(NPG)もPLoS ONE方式のジャーナル"Scientific Reports"を創刊することになりました。

で、ちょっと良い機会なので目についたPLoS ONE方式のオープンアクセス誌(+α)をリストしてみます。

"PLoS ONE"

by PLoS、研究手法の審査のみで論文を出版する方式オープンアクセスジャーナルの草分け的存在。インパクトファクター4.35(2010年)、年間約7000本の論文を出版する巨大ジャーナル。
分野:科学全般
費用*1:1350ドル

"Scientific Reports"

by NPG、PLoS ONE方式。2011年夏に創刊予定。
分野:科学全般(生物学、化学、物理、地球科学)
費用:1350米ドル(日本円 142500円)

"AIP Advances"

by American Institute of Physics(AIP)、2010年後半創刊。PLoS ONE方式で出版して、出版後に研究者コミュニティによる評価を行う(予定、初号刊行はこれから)。
分野:応用物理学
費用:1350米ドル

"BMJ Open"

by BMJ Group(イギリス医師会の出版部門)、PLoS ONE方式。BMJ出版の他ジャーナルでは(研究インパクトの小ささ等で)出版されないような内容の論文を扱う。
分野:医学一般
費用:1200ポンド

"SAGE Open"

by SAGE、PLoS ONE方式。2011年1月1日から投稿受付開始。研究資金が潤沢ではない社会科学・人文科学分野でのオープンアクセス誌そのものが新しい試み。
分野:社会科学、人文科学
費用:695米ドル

"G3: Genes, Genomes, Genetics"

by Genetics Society of America、データの質や応用性にフォーカスを当てて査読を行うオープンアクセス誌。研究手法の妥当性等や研究自体の成果よりもデータが後々に活用できるものかを重視するという姿勢に、OPEN DATA的な試みを感じる。
分野:遺伝学、ゲノム分野
費用:他のGenetics Society of America発行ジャーナルと同じ?(学会員なら1ページあたり70米ドルetc.)

*1:article processing fee、論文1本の掲載費用