読書の楽しみ、知らないものを知る喜びを思い出させてくれる名著。上巻は知的興奮しながらあっという間に読み切ったし、「なぜなぜ」と掘り下げていく著者の姿勢も、長大な内容をまとめている本のストラクチャーもおもしろかったが、読後に知識として残る(記憶しておきたい)ものは少なかったので下巻に入ってから読み切るまでは時間がかかった。
銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎 ジャレド ダイアモンド 倉骨 彰 草思社 2000-10-02 売り上げランキング : 9248 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
以下は自分用のメモ。
第1部
p.54 (ch. 1)
人類の「大躍進」時期 5万年前 クロマニヨン人
装身具、芸術、言語、発話能力、大型動物の絶滅
第2部
p. 132 (ch. 5)
食料生産と征服の関係、馬・らくだの軍事的利用、家畜から人間にうつった病原菌
第3部
ch. 12
技術や概念といったものは「実態の模倣」か「アイデアの模倣」で伝播する
→基本的なアイデアが借用されるだけで、最終物はオリジナルと全く似ていないこともある
eg. 言語の発明
(文字の歴史:自然環境の障壁が伝播に影響を与えている。これは農作物・家畜生産の伝播と同じ。)
ch. 14
- 小規模血縁集団(バンド):「平等」という形容詞で表現されるが、それはすべてのメンバーがわけへだてなく平等な権限を持つといった意味ではなく、階級が身分かでメンバーが社会的に区別されていないという意味である。(よって自分で食料を手に入れられなくなった者は淘汰される。)
- 部族社会
- 首長社会(チーフダム):富の再分配 - トップの人気取りの側面
- 国家 - 宗教や愛国心、大規模公共施設
- 人口の多少・密度←→社会の形成 →集権化・複雑化
- 人口の多少・密度 → 食料生産の必要性
- 人口の多少・密度 → 紛争の解決、意思決定の仕組みの必要性
(cf. 20人の村における、1対1の人間関係の総数は (20*19)/2 = 190通り。いっぽう2000人の国家における、1対1の人間関係の総数は (2000*1999)/2 = 1999通り。幾何級数的に増えて行く。)
第4部
ch. 15
環境 ← ? → 人間社会
→白人の入植により、適した地域に適した農作物がもちこまれた
- ニューギニア・・・なぜ集権化されなかったか?
- 食料
- 土地条件
- 地理的孤立
- 人口が少ないまま
- 伝播が生まれない
→社会・技術・文化等の発展が進まなかった。しかしだんだんとアジア大陸との交流が生まれた。
→インドネシア、マレー → 16c. ポルトガルに「発見」される → 19c. 植民地化 → 入植進まず
ch. 16 どうやって中国は「中国」になったか
政治・文化的統一 - 地理的障害がなかった+東西に流れる大河x2があった+その大河(黄河・揚子江)を結ぶ運河
青銅、シナ=チベット語、国家体制は北から南に伝播した
p. 243 (ch. 18)
南北アメリカ大陸の言語分布 - 地理的・生態的に大陸が分断されていたことの影響
e.g. ユーラシア大陸の言語は10言語ファミリーに分けられ、各ファミリーの分布エリアが大きい。いっぽう南北アメリカ大陸の言語ファミリーはどの言語ファミリーも広範な地域に広がっていない。